就業規則に記載すべき事項・効力発生要件
就業規則は一度作成すると、従業員にとって不利になる内容の変更をするには合理的な理由がなければすることが出来ません。就業規則の内容は慎重に決めましょう。
就業規則に記載すべき事項の中には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。
・絶対的必要記載事項とは、就業規則を作成する時には、必ずその内容を記載しなければならないもの
・相対的必要記載事項とは、必ず記載しなければいけないものではないが、相対的必要記載事項に書かれていることを従業員に適用させる時には、記載しなければいけないもの
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項を表にまとめると以下のとおりとなります。
育児・介護休暇については、育児介護休業法においてすべての会社に義務づけられています。そのため、休暇の項目で、育児・介護休暇の定めを書かなければいけません。
就業規則の効力発生要件
就業規則は、作成後に、労働基準監督署に届け出ただけで有効になるものではなく、「従業員に周知して」、初めて効力が発生します。
就業規則を作成・変更した場合は、必ず、労働者に周知しましょう。労働基準法第106条で周知義務が記載されています。
【労働基準法第106条(法令等の周知義務)】
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
就業規則の効力発生要件に関する判例を以下に記載します。
日本コンベンションサービス事件(大阪高裁平成10年5月29日判決)
労働基準法89条は、就業規則の作成及び変更について行政官庁への届出義務を、同法90条は、労働組合または労働者代表者の意見聴取義務を、同法106条1項は、就業規則の掲示または備え付けによる周知義務を定めている。もっとも、これらの規定はいわゆる取締規定であって、効力規定ではない。それゆえ、使用者がこれらの規定を遵守しなかったからといって、これにより直ちに就業規則の作成または変更が無効となるものではない。
しかし、およそ就業規則は、使用者が定める企業内の規範であるから、使用者が就業規則の新設または改定の条項を定めたとしても、そのことから直ちに効力が生じるわけではない。これが効力を生じるためには、法令の公布に準ずる手続、それが新しい企業内規範であることを広く従業員一般に知らせる手続、すなわち、「何らかの方法による周知が必要である(なお、就業規則の効力発生要件としての右周知は、必ずしも労働基準法106条1項の周知と同一の方法による必要はなく、適宜の方法で従業員一般に知らされれば足りる。)
以上によれば、Y(使用者)が、X(労働者)らの退職の日までに、新規定を一般的に従業員に周知した事実を認めることができない。そして、新規程は、前示のように従業員側にその意見を求めるため提示されかつその正当な代表者による意見書が付された上で届けられたものともいえない。このような場合には、就業規則変更の効力は、前示のように、原則として従業員一般に対する周知の手続をとらないままでその効力が生ずるものではないと解すべきである。Xらは、退職前に退職給与規程を取り寄せてはいるが、単に同人らが退職前に新規程の存在と内容を知ったとしても、これをもって新規程の効力が同人らに及ぶものではない。
フジ興産事件(最高裁2小平15.10.10)
就業規則が法的規範としての性質を有するものとして効力を生ずるためには、その内容を適用を受ける労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである。
済生会・東京都済生会中央病院(定年退職)事件
(東京高裁平成12年12月25日判決)
同一企業の複数の事業場にそれぞれ異なる内容の就業規則が制定されている場合に、その複数の事業場の職務を兼務している労働者がいるときは、各就業規則の中に適用関係を調整する規定が設けられていればそれに拠ることになるが、調整規定が設けられていない場合には、ある事業場の職務に関しては当該事業場の就業規則が適用になるのが原則であると解するのが相当である。
ただ、右原則を適用した結果不合理な事態が生じるような場合、あるいは、複数の事業場の職務が明確に区別できないような場合等には、各就業規則の合理的、調和的解釈により、その労働者に適用すべき規定内容を整理、統合して決定すべきである。
NTT西日本事件(京都地裁平成13年3月30日判決)
労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の内容についての行政的監督を容易にしようとしたものに過ぎないから、届出は就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生じると解すべきである。
Yは、本件就業規則の変更による特別職群制度の導入について、説明会や勉強会を開催したり、同制度の概要を記載した書面を配布するなど、副参事を含む管理職に対して周知させるよう努力しているものといえ、本件就業規則の変更について関係当事者に対して周知させるに足りる相当な方法を講じたものといえる。
よって、本件就業規則の変更につき、手続違反を理由とする無効事由があるとはいえない。
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項を表にまとめると以下のとおりとなります。
絶対的必要 記載事項 |
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相対的必要 記載事項 |
1.退職手当、その他の手当、賞与及び最低賃金に関する事項 2.食費、作業用品その他の負担に関する事項 3.安全および衛生に関する事項 4.災害補償及び業務外傷病扶助に関する事項 5.表彰および制裁の種類並びに程度に関する事項 6.労働者全てに適用されるような定めに関する事項 |
育児・介護休暇については、育児介護休業法においてすべての会社に義務づけられています。そのため、休暇の項目で、育児・介護休暇の定めを書かなければいけません。
就業規則の効力発生要件
就業規則は、作成後に、労働基準監督署に届け出ただけで有効になるものではなく、「従業員に周知して」、初めて効力が発生します。
就業規則を作成・変更した場合は、必ず、労働者に周知しましょう。労働基準法第106条で周知義務が記載されています。
【労働基準法第106条(法令等の周知義務)】
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
就業規則の効力発生要件に関する判例を以下に記載します。
日本コンベンションサービス事件(大阪高裁平成10年5月29日判決)
労働基準法89条は、就業規則の作成及び変更について行政官庁への届出義務を、同法90条は、労働組合または労働者代表者の意見聴取義務を、同法106条1項は、就業規則の掲示または備え付けによる周知義務を定めている。もっとも、これらの規定はいわゆる取締規定であって、効力規定ではない。それゆえ、使用者がこれらの規定を遵守しなかったからといって、これにより直ちに就業規則の作成または変更が無効となるものではない。
しかし、およそ就業規則は、使用者が定める企業内の規範であるから、使用者が就業規則の新設または改定の条項を定めたとしても、そのことから直ちに効力が生じるわけではない。これが効力を生じるためには、法令の公布に準ずる手続、それが新しい企業内規範であることを広く従業員一般に知らせる手続、すなわち、「何らかの方法による周知が必要である(なお、就業規則の効力発生要件としての右周知は、必ずしも労働基準法106条1項の周知と同一の方法による必要はなく、適宜の方法で従業員一般に知らされれば足りる。)
以上によれば、Y(使用者)が、X(労働者)らの退職の日までに、新規定を一般的に従業員に周知した事実を認めることができない。そして、新規程は、前示のように従業員側にその意見を求めるため提示されかつその正当な代表者による意見書が付された上で届けられたものともいえない。このような場合には、就業規則変更の効力は、前示のように、原則として従業員一般に対する周知の手続をとらないままでその効力が生ずるものではないと解すべきである。Xらは、退職前に退職給与規程を取り寄せてはいるが、単に同人らが退職前に新規程の存在と内容を知ったとしても、これをもって新規程の効力が同人らに及ぶものではない。
フジ興産事件(最高裁2小平15.10.10)
就業規則が法的規範としての性質を有するものとして効力を生ずるためには、その内容を適用を受ける労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである。
済生会・東京都済生会中央病院(定年退職)事件
(東京高裁平成12年12月25日判決)
同一企業の複数の事業場にそれぞれ異なる内容の就業規則が制定されている場合に、その複数の事業場の職務を兼務している労働者がいるときは、各就業規則の中に適用関係を調整する規定が設けられていればそれに拠ることになるが、調整規定が設けられていない場合には、ある事業場の職務に関しては当該事業場の就業規則が適用になるのが原則であると解するのが相当である。
ただ、右原則を適用した結果不合理な事態が生じるような場合、あるいは、複数の事業場の職務が明確に区別できないような場合等には、各就業規則の合理的、調和的解釈により、その労働者に適用すべき規定内容を整理、統合して決定すべきである。
NTT西日本事件(京都地裁平成13年3月30日判決)
労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の内容についての行政的監督を容易にしようとしたものに過ぎないから、届出は就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生じると解すべきである。
Yは、本件就業規則の変更による特別職群制度の導入について、説明会や勉強会を開催したり、同制度の概要を記載した書面を配布するなど、副参事を含む管理職に対して周知させるよう努力しているものといえ、本件就業規則の変更について関係当事者に対して周知させるに足りる相当な方法を講じたものといえる。
よって、本件就業規則の変更につき、手続違反を理由とする無効事由があるとはいえない。
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